読断片日記

仕事柄、1冊丸ごとより断片をよく読むので、その中で印象に残ったもののメモ代わり。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【読断片】弓削尚子『啓蒙の世紀と文明観』

【断片の要約】 哲学者カントが人類学・人間学(アンソロポロジー)の講義を続け「人種」という概念の定義を確立させた一人であることからもわかるように、18世紀は「人種」を「科学的」に解明しようとした時代であった。だがそこには優劣の観念が持ち込まれ…

【読断片】川崎賢子「成熟した読者のための吉屋信子」(吉屋信子『鬼火・底のぬけた柄杓』解説)

【断片の要約】 読者自身が文芸上の既成観念から解放されないと、吉屋信子は理解できない。吉屋信子の少女小説の中心読者層であった女学生たちは、異性愛の性役割とセクシュアリティの規範という現実に閉じ込められていたが、吉屋の小説はそれらの規範への強…

【読断片】渡辺政隆『一粒の柿の種―科学と文化を語る』

編集 【断片の要約】 科学について語る場合、従来は専門家の話を一般人が拝聴するという一方通行的なものだった。だがそれでは科学に関心のある人にしか話が届かないし、一般人の話を科学の専門家が聞くこともない。その結果専門家は「素人は説明してもわか…