読断片日記

仕事柄、1冊丸ごとより断片をよく読むので、その中で印象に残ったもののメモ代わり。

2020-01-01から1年間の記事一覧

【読断片】和田秀樹『この国の息苦しさの正体』

【断片の要約】 白黒はっきりつけたがるという二元論的思考には注意が必要だ。中間ゾーンがないため一度敵/味方に分けてしまうと感情的な反応が起こり、判断がゆがめられがちになる。味方に対しても「自分に賛成してくれるだろう」と決めつけて話をしたら反…

【読断片】香山リカ『14歳の心理学』

【断片の要約】 「コミュニケーションがうまくとれない」と悩む人は相変わらず多いが、最近は最も身近な人とのコミュニケーションに悩むケース、およびコミュニケーションの努力を放棄しておきながら「わかってもらえるはず」と期待して失望する、ネット上の…

【読断片】成田龍一『〈歴史〉はいかに語られるか 1930年代「国民の物語」批判』

【断片の要約】 「戦争」の語りは、「報告」から戦後「体験」となり、共有性が薄れるにつれ「証言」として語られるようになった。「証言」では異なった立場からの、時には「加害者」としての語りも登場した。一方歴史学視点では支配者の対極としての「国民」…

【読断片】弓削尚子『啓蒙の世紀と文明観』

【断片の要約】 哲学者カントが人類学・人間学(アンソロポロジー)の講義を続け「人種」という概念の定義を確立させた一人であることからもわかるように、18世紀は「人種」を「科学的」に解明しようとした時代であった。だがそこには優劣の観念が持ち込まれ…

【読断片】川崎賢子「成熟した読者のための吉屋信子」(吉屋信子『鬼火・底のぬけた柄杓』解説)

【断片の要約】 読者自身が文芸上の既成観念から解放されないと、吉屋信子は理解できない。吉屋信子の少女小説の中心読者層であった女学生たちは、異性愛の性役割とセクシュアリティの規範という現実に閉じ込められていたが、吉屋の小説はそれらの規範への強…

【読断片】渡辺政隆『一粒の柿の種―科学と文化を語る』

編集 【断片の要約】 科学について語る場合、従来は専門家の話を一般人が拝聴するという一方通行的なものだった。だがそれでは科学に関心のある人にしか話が届かないし、一般人の話を科学の専門家が聞くこともない。その結果専門家は「素人は説明してもわか…

【読断片】湯浅誠『ヒーローを待っていても世界は変わらない』

【断片の要約】 自分は大企業正社員の父、元小学教師の母を持ち、個室も与えられ塾にも私立エリート校にも行きたいと言えば行かせてもらえた。一浪の末東大に合格したが、それを恵まれた環境のおかげとは思わずすべて自分の努力の成果に帰していた。 例えば…

【読断片】國分康孝「ふれあいの原理」※出典不明

【断片の要約】人と心のふれあいを持つには人が触れてくるのを待っているだけではダメで、自己表現をしなければならない。自己表現とは人と感情を分かち合おうとすることである。自己表現のためにはまず相手の意向ばかり伺うのではなく、その瞬間瞬間の自分…

【読断片】『クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン』鴻上 尚史

【断片の要約】 日本人は「社会」と日本独自の「世間」の二つの世界に生きているが、自分に直接関係する「世間」の方が大事なので、「世間」ではなく「社会」にいる人が困っていてもどうすればいいのかわからないから、助けない。【感想】 「世間」と「社会…