読断片日記

仕事柄、1冊丸ごとより断片をよく読むので、その中で印象に残ったもののメモ代わり。

評論

【読断片】成田龍一『〈歴史〉はいかに語られるか 1930年代「国民の物語」批判』

【断片の要約】 「戦争」の語りは、「報告」から戦後「体験」となり、共有性が薄れるにつれ「証言」として語られるようになった。「証言」では異なった立場からの、時には「加害者」としての語りも登場した。一方歴史学視点では支配者の対極としての「国民」…

【読断片】川崎賢子「成熟した読者のための吉屋信子」(吉屋信子『鬼火・底のぬけた柄杓』解説)

【断片の要約】 読者自身が文芸上の既成観念から解放されないと、吉屋信子は理解できない。吉屋信子の少女小説の中心読者層であった女学生たちは、異性愛の性役割とセクシュアリティの規範という現実に閉じ込められていたが、吉屋の小説はそれらの規範への強…

【読断片】『クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン』鴻上 尚史

【断片の要約】 日本人は「社会」と日本独自の「世間」の二つの世界に生きているが、自分に直接関係する「世間」の方が大事なので、「世間」ではなく「社会」にいる人が困っていてもどうすればいいのかわからないから、助けない。【感想】 「世間」と「社会…