読断片日記

仕事柄、1冊丸ごとより断片をよく読むので、その中で印象に残ったもののメモ代わり。

【読断片】『クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン』鴻上 尚史

 【断片の要約】

日本人は「社会」と日本独自の「世間」の二つの世界に生きているが、自分に直接関係する「世間」の方が大事なので、「世間」ではなく「社会」にいる人が困っていてもどうすればいいのかわからないから、助けない。

【感想】

 「世間」と「社会」という分類になるほど! と膝を打った。どうしても「優しい/冷たい」や「思いやりがある/ない」の二項対立で語られがちな「駅の階段でベビーカーを前に困っている母親」の例も、「世間」に生きている人間ではないから助けない、というのなら納得がいく。ウチとソトを厳密に分類する日本人らしいと言えばらしいのか。
 「世間」以外の「社会」に生きている人間には、人間らしさではなく「機能」のみを求めるのかもしれない、警察官がコンビニで飲み物を買っているとクレームが来るなどというのも、「社会」の中では「機能」たれという圧力なのかもしれないと感じた。

 そして、それほど「世間」が絶対であり、「世間」の中でのけ者にされたら生きていけないと感じてしまうのも日本人の特徴なのかもしれない。自殺者の多さもそう考えると納得がいく。

【1冊読んでみたい度】

★★★★☆